不動産売却の現状渡しは得か?売主・買主のメリットとデメリットも解説

不動産を売却する際、「現状渡し」を選択することで、修繕費用をかけずに取引を進めることができます。
しかし、現状のまま引き渡すため、買主とのトラブルを防ぐには契約内容の確認が不可欠です。
とくに、契約不適合責任や告知義務を正しく理解しておくことで、売却後のリスクを最小限に抑えられるでしょう。
この記事では、現状渡しの基本やメリット・デメリットについて詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
不動産を売却するときの現状渡しとはどういうものなのか

不動産の売却時における「現状渡し」とは、物件の現状をそのまま買主に引き渡す契約形態を指します。
これは、物件の修繕やリフォームをおこなわず、現状のままで取引を進める方法のことです。
しかし、この方法には、契約不適合責任や告知義務が深く関わってきます。
このような責任や義務を理解せずに取引を進めると、売却後に思わぬトラブルに発展するリスクが高まるでしょう。
契約不適合責任
契約不適合責任とは、売主が買主に引き渡した物件が、契約内容と適合しない場合に負うものです。
2020年の民法改正によって、従来の瑕疵担保責任から名称が変わり、売主の説明責任がさらに重視されるようになりました。
たとえば、物件に雨漏りやシロアリ被害などの欠陥があり、それが契約時に明示されていなかった場合、買主は修繕や損害賠償を求めることができます。
売主が故意や重過失でなくても、引き渡し時点で存在していた欠陥に対して、責任を追及される可能性があります。
現状渡しでも、この責任は免除されません。
知らなかった欠陥が後に発覚しても、売主が修理費を負担するなどの対応を迫られることもあるのです。
そのため、物件の状態を正確に把握し、契約内容に反映させることが大切です。
ただし、不動産会社による買取なら、契約不適合責任が免除されるケースもあります。
これは、買取後にリノベーションや再販を前提としているため、物件の欠陥リスクを事前に織り込んでいるためです。
一方、個人間の売買では、現状渡しであっても免除特約を設けない限り、売主は責任を負う可能性があります。
告知義務
告知義務とは、売主が物件の欠陥や不具合を、買主へ事前に知らせる義務です。
過去の雨漏りやシロアリ被害、設備故障などは買主の判断に大きく影響します。
故意に隠せば、後々トラブルに発展する可能性があります。
また、心理的瑕疵、すなわち物件で過去に事件や事故があった場合などの情報も、告知の対象です。
たとえば、過去に自殺や火災事故などが起きた物件である場合、その情報は買主の生活に直接関係するため、必ず開示しなければなりません。
原則として、現状渡しでも、告知義務は免除されない点に注意しましょう。
売主が知っている欠陥や問題点は、すべて伝える必要があります。
過去の修繕内容を含めて、正直に開示しなければ、後に責任を問われる可能性が高まります。
もし告知を怠れば、買主は損害賠償や契約解除を求めることもあるため、慎重に対応するようにしましょう。
現状渡しをすることのお互い(売主・買主)のメリットについて

古い建物などの売却に使われることの多いのが現状渡しです。
古い建物の修繕や清掃をおこなわず、現在の状態のまま買主へ引き渡します。
ですがこの売却方法には、売主のみならず買主にもメリットがあります。
売主の視点では、修繕や清掃にかかるコストを抑えるだけでなく、迅速に売却できるというのが利点です。
買主の視点では、安価に物件を取得し、自分の好みに合わせてリフォームやリノベーションをおこなえる点が魅力です。
コスト
現状渡しの最大の利点は、売主が修繕や清掃にかかる費用を節約できることです。
壁のひび割れや、設備の故障などを修理する費用は高額になる場合がありますが、現状渡しなら経済的負担を軽減できます。
これによって、売主が必要以上に資金を投じるリスクを減らせるでしょう。
また、業者選定やスケジュール調整の手間を省き、スムーズに売却手続きを進められます。
買主にとっても、市場価格より安く設定されることが多く、初期費用を抑えて購入できる点も魅力です。
その分リフォームやリノベーションに予算を回し、自分好みの住まいにすることができます。
早期売却
現状渡しなら、修繕や清掃をおこなう時間を省けるため、売却開始を早められます。
相続や転勤などで、急いで物件を手放したい場合に有効です。
早期に売却を完了すれば、固定資産税などの維持費を抑えられます。
とくに、空き家となっている場合は、維持管理の手間や費用もかかるため、早い段階で売却できるメリットは大きいでしょう。
買主にとっても、即入居が可能なケースが多く、新生活を早く始めたい方にとって大きなメリットです。
物件の改修を自分で計画できるため、柔軟にスケジュールを組める点も好評です。
契約不適合責任(買取の場合どうなるか?)
現状渡しでも、物件に隠れた欠陥があれば、売主が責任を追及される可能性があります。
しかし、不動産会社による買取では、免除されるケースが多いです。
買取後にリノベーションし再販することを前提にしているため、リスクを織り込んでいるためです。
一方、個人間の売買では、現状渡しであっても特約を設けない限り売主が責任を負います。
そのため、物件の状態を正確に把握し、買主に適切な情報を提供することが重要です。
売主としては、インスペクションを利用して、欠陥や不具合を早期に把握しておくと安心でしょう。
現状渡しをすることによるお互い(売主・買主)のデメリットについて

現状渡しの場合ももちろん、売主と買主の双方に注意すべきデメリットがあります。
売主にとっては、契約不適合責任を追及されるリスクがあり、買主にとっては、追加の修繕費用や改修計画の負担が生じるかもしれません。
契約不適合責任
現状渡しでも、売主は引き渡した物件に隠れた欠陥があると、責任を追及される可能性があります。
とくに、売主が物件の状態を十分に把握していない場合、リスクが高まります。
知らなかった雨漏りやシロアリ被害が後から判明すれば、修繕費や損害賠償を求められることもあるでしょう。
こうしたトラブルを防ぐには、専門家による住宅診断(インスペクション)が有効です。
欠陥を把握し、契約書に明記しておけば、後々の紛争を回避しやすくなります。
売却価格
現状渡しの物件は、一般的に市場価格より低く評価される傾向があります。
買主が修繕やリフォームの追加費用を想定するため、その分売却価格の引き下げを求められやすいためです。
築年数が経過し、内装や設備が劣化している物件では、大規模リフォームを前提とする買主も少なくありません。
また、物件の老朽化が著しい場合は大規模改修が必要となり、そのコストを見込んでさらに低い売却価格を提示されるケースもあります。
このため、価格交渉が長引いたり、購入を敬遠されたりする可能性もあります。
以上のように、現状渡しには売主と買主の双方にデメリットがあるのです。
売主は契約不適合責任を理解し、物件の状態を正確に把握することが大切です。
買主も必要な修繕箇所を把握し、納得してから購入を検討しましょう。
まとめ
現状渡しは、売主にとって修繕費を抑えられる一方で、契約不適合責任のリスクを伴います。
買主は安価に物件を取得できる可能性があるものの、修繕費の負担が発生する点に注意が必要です。
契約のメリット・デメリットを理解し、リスクを踏まえた慎重な判断が求められます。
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