住宅ローン残債ある家は売却できる?方法と売却後のお金の不安を減らすコツ

住宅ローン×不動産売却

美馬 康介

筆者 美馬 康介

不動産キャリア12年

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住宅ローンの残債がまだある家を売却したい。
けれど、売却方法や税金、手元に残るお金が不安で動き出せない方は少なくありません。
確かに、残債ありの家の売却は、仕組みや手続き、お金の流れが少し複雑です。
しかし、ポイントさえ押さえれば、大きな損失を避けながら次の生活へ進むことも十分可能です。
この記事では、住宅ローン残債と売却価格、自己資金との関係を整理しながら、現実的な売却方法を具体的に解説します。
さらに、税金や諸費用、売却後の家計への影響まで、お金に関する不安をトータルでチェックできる内容にまとめました。
今の家を手放すべきか迷っている方は、まず全体の流れをつかむところから始めてみましょう。

住宅ローン残債ありでも家を売却できる仕組み


住宅ローン返済中の家には、金融機関が債権を守るための権利として抵当権が設定されています。
抵当権が付いたままでは所有権移転登記ができないため、原則として売却時までに住宅ローンを完済し、同時に抵当権抹消登記を行う必要があります。
このとき、売却代金や自己資金で残債を返済し、決済と同時に抵当権を外すのが一般的な流れです。
つまり、残債があっても、完済のめどが立てば家を売却すること自体は可能といえます。

住宅ローン残債と売却価格の関係は、「アンダーローン」と「オーバーローン」という言葉で整理できます。
アンダーローンは売却価格が住宅ローン残債より多く、売却代金だけで完済できる状態を指し、決済後に現金が手元に残る可能性があります。
これに対して、オーバーローンは売却価格が住宅ローン残債より少なく、売却代金だけでは完済できない状態を指し、不足分を自己資金や別の借入で補う必要があるため、お金の負担やリスクが大きくなります。
この違いを理解しておくと、自分の状況がどちらに近いかを判断しやすくなります。

実際に売却を現実的に進められるかどうかは、「売却価格」「住宅ローン残債」「用意できる自己資金」の3つの関係で決まります。
売却価格と自己資金を合計した金額が住宅ローン残債を上回れば、原則として抵当権を外して売却することができます。
一方で、この合計額が残債に届かない場合は、金融機関との交渉や別の借入など、通常とは異なる対応が必要になることがあります。
まずは手元のローン残高と、おおよその売却見込み額、用意できる自己資金を整理し、どの程度であれば売却が現実的かを冷静に把握することが大切です。

区分 売却価格と残債の関係 売却時のお金の状態
アンダーローン 売却価格が残債より多い状態 売却代金で完済しやすい
オーバーローン 売却価格が残債より少ない状態 不足分を自己資金で補填
売却困難な例 売却価格と自己資金を足しても残債不足 金融機関との個別相談が必要

残債ありの家を売却する具体的な4つの方法


まず押さえておきたいのは、売却代金と自己資金を組み合わせて住宅ローンを完済し、抵当権を外してから引き渡す一般的な方法です。
売買契約後、決済・引き渡しの場で売却代金が金融機関に送金され、不足分があれば自己資金で補う流れになります。
このとき、金融機関での抵当権抹消手続きや、司法書士による登記申請が必要になり、その報酬や登記費用、売買契約書の印紙税などの諸費用がかかります。
そのため、事前に残債額と売却予定価格、諸費用の見込みを金融機関や専門家に確認し、手元資金で不足分を無理なく賄えるかを確認しておくことが大切です。

次に選択肢となるのが、住み替えローンなどを利用して、残っている住宅ローンと新しい住まいの購入資金をまとめて借り直す方法です。
この場合、売却価格より残債が多くても、新たな住宅ローンの借入枠の中で不足分を組み込める仕組みになっているものが一般的です。
一方で、借入総額が大きくなり、返済期間が長期化したり、金利負担が増えたりする可能性があるため、家計全体の返済比率や予備資金の余裕を慎重に確認する必要があります。
金融機関ごとに審査基準や利用条件が異なりますので、年収や勤務状況、現在の返済状況などを整理したうえで、複数の条件を比較検討することが重要です。

売却価格より残債が多い状態が続き、返済が難しくなったときに検討されるのが任意売却です。
任意売却は、金融機関などの債権者の同意を得て、市場に近い価格で不動産を売却し、その代金を残債の返済に充てる手続きであり、裁判所を通じて強制的に売却される競売とは仕組みが異なります。
競売に比べて市場価格に近い金額で売れる可能性があり、売却後に残る債務についても、分割払いや返済額の調整などを債権者と個別に協議できる場合があります。
ただし、滞納が進み差押や競売の手続きが始まる前に、早めに金融機関へ相談し、任意売却に応じてもらえる条件やスケジュールを確認しておくことが欠かせません。

方法 主な特徴 お金のポイント
売却代金と自己資金で完済 最も一般的な売却方法 不足分を自己資金で補填
住み替えローンの利用 残債と新居費用を一本化 総返済額と返済比率に注意
任意売却の活用 金融機関と合意して売却 競売より高値の可能性
返済条件見直しや賃貸化 売却以外で負担を調整 家計の赤字拡大を抑制

売却だけにこだわらず、返済条件の見直しや一時的な賃貸活用といった選択肢も検討することが、お金を守るうえで役立ちます。
住宅金融支援機構は、収入減少などで返済が難しくなった場合に、返済期間の延長や一定期間の返済額軽減などの条件変更について、利用中の金融機関を通じて相談できる仕組みを設けています。
また、いったん売却を見送り、賃貸物件として家賃収入を得ながら返済を続ける方法が現実的な場合もあり、空室リスクや修繕費などの支出も含めて検討することが必要です。
どの方法が適切かは、残債額や収入、今後の住まい方の希望によって大きく変わるため、早い段階で金融機関や公的機関の相談窓口を活用し、自分に合った選択肢を整理していくことが大切です。

住宅ローン残債ありで売却した後の税金とお金の流れ


まず、家を売ったときの税金は「譲渡所得」がプラスかマイナスかで考え方が変わります。
譲渡所得は、売却代金から取得費や仲介手数料などの譲渡費用を差し引いて計算し、利益が出た場合に所得税と住民税が課税されます。
一方で、売却額が購入時より低く、譲渡所得がマイナスになる「譲渡損」の場合には、通常は譲渡所得税や住民税は発生しません。
ただし、住宅ローン残債がある場合は、利益の有無とローン返済の状況を切り分けて考えることが大切です。

次に、売却時に利用できる主な税制優遇を押さえておくと、手取り額の見通しが立てやすくなります。
代表的なものとして、一定の要件を満たすマイホームを売却した場合に譲渡所得から最大3,000万円まで差し引ける「3,000万円特別控除」があります。
さらに、所有期間などの条件を満たす場合には、長期譲渡所得に対する軽減税率の特例や、住み替えで生じた譲渡損失を他の所得と通算し、翌年以降に繰り越せる制度も用意されています。
これらの特例は、適用要件や申告手続きが細かく定められているため、売却前に国税庁の情報を確認しつつ、早めに検討することが重要です。

また、売却後の手取り額を左右するのは税金だけではなく、諸費用も含めたお金の動きです。
売買契約書に貼る印紙税、住宅ローンの抵当権抹消や所有権移転に伴う登録免許税、これらの登記を依頼する司法書士報酬、仲介会社に支払う仲介手数料などが主な項目です。
仲介手数料は売却価格に応じて上限が法律で定められており、登録免許税や司法書士報酬にもおおよその相場があります。
さらに、利益が出た場合には、譲渡所得に対して所有期間に応じた税率で所得税と住民税が課税されるため、事前に概算を把握しておくと安心です。

項目 内容 お金への影響
譲渡所得税・住民税 利益に対する税負担 売却益が出た場合に発生
各種税制優遇 3,000万円特別控除等 税額を大きく軽減する制度
売却時の諸費用 印紙税や登記費用など 手取り額を目減りさせる要因

売却後のお金の不安を減らす資金計画と相談のポイント

まずは、売却前に現在の住宅ローン残高と、売却できそうな価格の目安を整理することが大切です。
金融機関から取り寄せた残高証明書や、返済予定表などを基に、完済に必要な金額を把握します。
次に、不動産の売却に伴って発生する仲介手数料や司法書士報酬、印紙税、登録免許税などの諸費用を見積もり、売却代金から差し引きます。
これに、譲渡所得が出る可能性がある場合には、国税庁の情報を参考に譲渡所得税・住民税の概算も加味し、最終的に手元に残るお金を試算しておくと安心です。

このような試算を踏まえ、売却後にどれくらいの資金を手元に残したいかという目標額を考えることが重要です。
賃貸住宅へ住み替える場合は、毎月の家賃や更新料、引越し費用、敷金・礼金などの初期費用も含めて、必要な現金の総額を見積もります。
一方で、新たに住宅ローンを組んで住み替える場合には、頭金に充てる金額と、今後の返済額が家計に無理のない範囲かどうかを慎重に確認します。
このとき、売却による一時的な収入だけで判断せず、今後の収入の見通しや予備費も考慮して資金計画を立てることが、不安を抑えるうえで役立ちます。

さらに、売却後の家計管理では、毎月の生活費と住居費のバランスを改めて見直すことが欠かせません。
一般的に、住宅ローン返済額や家賃などの住居費は、手取り収入の一定割合に収まるよう管理することが、無理のない返済につながります。
そのため、売却前後の収支を「現在の支出」「売却後の見込み支出」に分けて一覧にし、どこを調整すればゆとりが生まれるかを確認するとよいでしょう。
特に、教育費や老後資金など長期的な支出の予定も一緒に整理しておくと、売却後の暮らし方の優先順位が明確になり、不安が軽減しやすくなります。

確認したい項目 主な内容 意識したいポイント
売却前の試算 残高・諸費用整理 手取り額の把握
売却後の生活費 家賃や返済額 収入との割合確認
将来の支出予定 教育費・老後資金 優先順位の明確化

資金計画と合わせて、お金の専門家に相談するタイミングも意識しておくと安心です。
たとえば、譲渡所得や各種特例の適用可否については、税理士に相談することで、具体的な税額や申告方法を確認できます。
金融機関には、残債の返済方法や住み替えに伴う新たな住宅ローンの条件などについて、返済計画が成り立つかどうかを含めて相談できます。
この際、住宅ローンの残高が分かる資料、年収や家計の状況、売却予定の価格帯などをあらかじめ整理して持参すれば、より具体的な助言を受けやすくなります。

まとめ

住宅ローンの残債があっても、仕組みを理解すれば家の売却は十分に可能です。
アンダーローンかオーバーローンかで選ぶべき方法やリスクが変わるため、残債・売却予想額・自己資金を早めに整理することが重要です。
さらに、譲渡所得税や各種特例、諸費用を踏まえて資金計画を立てれば、売却後の生活も見通しやすくなります。
当社では、ローン残高の確認から売却方法の比較、税金や資金計画のご相談まで一括してサポートしています。
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