相続した空き家の管理方法は？放置するデメリットや解決策を解説！

近年、国内では空き家が増加傾向にあります。
空き家を所有する要因の多くは「相続」であり、不動産を活用しきれていないのが現状です。
そこで今回は、空き家を相続したときに知っておきたい主な管理方法をはじめ、放置するデメリットや空き家にしないための解決策を解説します。

相続した空き家を管理する方法

空き家を相続したときには、以下の管理をおこなうのがおすすめです。
代表的な3つの管理方法を事前に把握しておけば、大きな損失につながる心配もないでしょう。
不動産相続を控えている方は、思わぬトラブルを防ぐためにも、あらかじめ空き家管理のポイントを確認しておく必要があります。

管理方法①換気をこまめにおこなう

誰も住んでいない家が老朽化してしまう大きな原因は、湿気です。
家は人が暮らしていないと湿気がたまり、基礎部分などが腐敗してしまいます。
この現象を防ぐには、こまめな換気が必要です。
定期的に窓を開けて換気をおこなえば、室内にたまった湿気も外に排出できます。
とくに、靴箱や押し入れ・クローゼットなどは湿気がたまりやすいため、入念な管理をおこなっておきましょう。

管理方法②定期的に通水をする

相続後の空き家管理では、通水が欠かせません。
水道を使わずに放置していると、水道管にサビができ、破裂のリスクが高まります。
また、悪臭の原因にもなるので、月に1回は通水の確認が必要です。
水道を1分ほど出しっぱなしにしておき、水の出方が悪くないか、サビの混じった赤茶色の水が出ないかなどをチェックしましょう。

管理方法③入念な掃除をしておく

相続した空き家であっても、掃除はきちんとおこなう必要があります。
室内の掃き掃除から庭の手入れまで、入念に掃除をしておくことが大切です。
掃除を怠っていると害虫が発生し、近隣トラブルにつながるおそれがあります。
相続した空き家が遠方にあり、定期的な管理が難しいケースでは、防草シートや除草剤などを活用するのも一つの手段です。
空き家を適切に管理しておけば、住宅の寿命を延ばせる可能性も高まります。

▼この記事も読まれています
空き家を放置するデメリットは？空き家にかかる税金や売却方法を解説

相続した空き家を放置するデメリット

相続した空き家をそのまま放置し続けるデメリットは、主に以下の3つです。
それぞれのリスクを事前に把握しておき、大きな損失につながらないよう注意しましょう。

デメリット①価格下落リスクがある

相続後に空き家を放置していると、建物の価値が下落する可能性があります。
とくにカビが異常繁殖していたり、シロアリが大量発生していたりする住宅は、資産価値が大きく下がるので注意が必要です。
将来的な売却がしにくくなり、処分をするだけでも大きな痛手となるおそれがあるでしょう。
また、フローリングのヒビ割れや畳の腐食なども、住宅の資産価値を下げる現象となります。
このような事象を生じさせないように、定期的な保守・点検をするのがポイントです。
相続で空き家を所有したときには、建物の築年数に応じて、メンテナンスや補修工事をおこなうことをおすすめします。
空き家が適切に管理されていれば、将来的に建物の価値がなくなるといったデメリットも生じにくくなるでしょう。

デメリット②所有者責任のリスクがある

空き家の所有者には、所有者責任が課せられています。
民法第717条によると、建物の崩壊などに起因する事故で、建物の設置または保存に問題があったときは、所有者自身に過失がなくても責任を負わなければなりません。
たとえば、敷地内のブロック塀が崩れて、他人に怪我をさせてしまったケースでは、所有者に責任が追及されます。
近年、国内では地震や台風といった災害が多くなってきているため、より慎重な対策が必要です。
他人に危害を与えないよう、相続した空き家は管理を怠らず、定期的にメンテナンスをしなければなりません。

デメリット③特定空家に指定されるリスクがある

空き家の相続後に管理を怠るデメリットとして、特定空家に指定されるリスクがあります。
特定空家とは、倒壊の危険性や衛生上の問題など、周辺の生活環境に悪影響を及ぼす空き家のことです。
この特定空家に指定されると、最終的に行政代執行で、強制的に建物の取り壊しがおこなわれます。
解体費用に関しては、所有者に請求が来るため、家を失うだけでなく、高額な費用負担をしなければなりません。
また、固定資産税の優遇措置も受けられなくなり、翌年の税金が高くなる可能性があります。
このように特定空家に指定されると、さまざまなデメリットが生じるので、日頃から適切に管理しておくことが大切です。
定期的に空き家へ出向き、掃除や換気・通水などをおこなっておくと良いでしょう。

▼この記事も読まれています
空き家を売るか貸すかの判断基準は？売る場合のポイントについても解説

相続した不動産を空き家状態にしないための解決策

相続した不動産を空き家状態にしないためには、以下の方法をとる必要があります。
おすすめの解決策は「空き家を解体する」「空き家を譲渡する」「空き家を売却する」の3パターンです。
それぞれどのような解決策か、ポイントを確認しておきましょう。

解決策①空き家を解体する

使う予定がない空き家は、解体するのがおすすめです。
建物を取り壊して更地にすれば、土地活用の範囲も広がります。
駐車場や空きスペースとして貸し出せるため、土地を無駄なく使えるでしょう。
空き家を解体するときには費用の工面が必要ですが、ケースによって自治体の助成金や補助金が利用できる可能性があります。
木造は1坪あたり5万円ほど、鉄骨造なら約7万円、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造であれば約9万円が解体工事費用の相場です。
なお、浄化槽や地中埋設物の撤去・アスベストの処分があるときには、別途費用が発生します。
空き家を解体するときは、トータル的なコストも考慮したうえで、工事を進めていく必要があるでしょう。

解決策②空き家を譲渡する

空き家の使い道に困ったら、第三者に譲渡するのも有効な手段です。
不動産の譲渡には、金銭が発生する「有償譲渡」と、金銭のやり取りがない「無償譲渡」の2種類があります。
なかでも、注意したいのが「無償譲渡」です。
この解決策は贈与とみなされるケースが多く、受贈側に贈与税が発生する可能性があります。
無償譲渡をおこなうときは、手続きを自分で済ませなければならないため、トラブルに発展しがちです。
契約内容に不備があるとトラブルになりやすいので、専門機関に相談するなど慎重な行動をとらなければなりません。

解決策③空き家を売却する

空き家の売却方法には、買取と仲介があります。
相続した不動産に使い道がないときは、売却を選択するのも良いでしょう。
不動産の処分を急いでいる方は、不動産会社に直接売る買取がおすすめです。
買主を探す手間が省けるため、短期間で不動産の売却がおこなえます。
一方、空き家を高く売りたいときは、不動産会社に仲介を依頼して、個人の買主を探す方法が有効です。
売却活動や内覧対応をおこなうため、引き渡しまで時間がかかりますが、戦略次第では高値売却を狙えます。
買取と仲介のどちらにもメリット・デメリットがあるので、売主の状況に合わせて選択してみましょう。

▼この記事も読まれています
不動産相続したときにかかる税金の種類とは？計算方法や税金の特例も解説

まとめ

相続した空き家の管理方法には、定期的な換気・通水・掃除が挙げられます。
空き家を放置すると、価値下落リスクや所有者責任リスクだけでなく、特定空家に指定されるデメリットも生じるでしょう。
おすすめの解決策として、空き家を解体・譲渡・売却する方法があるので、それぞれの特徴を踏まえて選択することが大切です。